東京高等裁判所 平成6年(行ケ)216号 判決 1996年10月31日
名古屋市昭和区川名山町1番地の6
原告
パロマ工業株式会社
同代表者代表取締役
小林敏宏
同訴訟代理人弁理士
石田喜樹
名古屋市中川区福住町2番26号
被告
リンナイ株式会社
同代表者代表取締役
内藤進
同訴訟代理人弁理士
北村欣一
同
田代作男
同
町田悦夫
同
須藤晟二郎
同
打揚洋次
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
「特許庁が平成5年審判第20385号事件について平成6年7月21日にした審決を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決
2 被告
主文と同旨の判決
第2 請求の原因
1 特許庁における手続の経緯
被告は、考案の名称を「ガス制御弁装置」とする登録第1918941号実用新案の実用新案権者である。
上記実用新案(以下「本件考案」という。)は、昭和58年4月12日にされた実用新案登録出願(実願昭58-53494号。以下「本件原出願」という。)を原出願とする分割出願として、昭和59年8月27日に実用新案登録出願(実願昭59-128560号)され、平成2年2月8日出願公告(実公平2-5273号)された上、平成4年7月22日に設定の登録がされたものである。
原告は、平成5年10月18日本件考案につき登録無効審判の請求をしたが、特許庁は、この請求を同年審判第20385号事件として審理した結果、平成6年7月21日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年8月25日原告に送達された。
2 本件考案の要旨
ガス入口と主ガス出口と点火ガス出口とを有する弁筐内に、該ガス入口と主ガス出口との問に位置する第1、第2の連通口と、ガス入口と点火ガス出口との間に位置する第3の連通口とを備え、少なくとも第2、第3の連通口を同一直線上に配設し、且つ第1の連通口にこれを開閉制御する電磁安全弁を、第2連通口にこれを開閉制御する遮断弁を更に第3の連通口にこれを開閉制御する点火ガス弁を臨ませ、遮断弁と点火ガス弁とを該弁筐の外部に設けた操作片の押圧により閉止位置からもどしばねに抗して中間の開弁位置を経て口火点火装置の作動スイッチをオンさせ該口火点火装置を作動状態にする終端の点火位置に押圧切換操作され、該操作片の押圧解除により該中間の開弁位置に係止され、該中間の開弁位置の状態から係止解除により閉止位置に復帰される共通の操作ロッド上に設け、該操作ロッドの開弁位置で遮断弁を、点火位置で該遮断弁に加えて点火ガス弁が開弁されると共に電磁安全弁を押圧開弁させるようにして成るガス制御弁装置。(別紙図面1参照)
3 審決の理由の要点
(1) 本件考案の要旨は、前項記載のとおりである。
(2) 請求人(原告)は、本件考案は、甲第2号証(本訴における書証番号。以下、同じ。)ないし甲第5号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案の登録は、実用新案法3条2項の規定に違反してなされたものであり、同法37条1項に該当すると主張し、次の証拠を提出した。
甲第2号証一実願昭55-130999号(実開昭57-55867号)の願書に添付された明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム
甲第3号証一実開昭52-54048号公報
甲第4号証一実願昭50-79545号(実開昭51-158665号)の願書に添付された明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム
甲第5号証一実公昭40-27414号公報
(3) 本件考案の実用新案登録請求の範囲の記載における「遮断弁と点火ガス弁とを該弁管の外部に設けた操作片の押圧により閉止位置からもどしばねに抗して中間の開弁位置を経て口火点火装置の作動スイッチをオンさせ該口火点火装置を作動状態にする終端の点火位置に押圧切換操作され、該操作片の押圧解除により該中間の開弁位置に係止され、該中間の開弁位置の状態から係止解除により閉止位置に復帰される共通の操作ロッド上に設け」とは、その考案の詳細な説明の項における記載を参照すると、操作片の押圧解除をすることのみにより、操作ロッドが、該終端の点火位置から該中間の開弁位置に係止されることをなし得る構成を含むものであるとすることができる。
そこで、本件考案と甲第2号証に記載された考案とを比較すると、少なくとも次の点において相違する。
相違点:操作ロッドを、該終端の点火位置から該中間の開弁位置に係止させるにあたり、本件考案においては、操作片の押圧解除をすることのみにより、すなわち、他の操作を必要とすることなく、単に手を放すだけでこれを達成できる構成となっているのに対して、甲第2号証に記載された考案においては、操作ロッドを押す手段を、もどり量に対応する形状をもった回転により作動させるカムによって構成しているので、積極的に回転を伴う操作が必要であり、単に手を放すだけでこれを達成できる構成ではない点。
(4)<1> 甲第3号証には、遮断弁、点火ガス弁及び電磁安全弁の開閉をなす操作を主レバー及び補助レバー、すなわち、二つの操作片を連動させて押圧及び解除することによって達成する操作機構が記載されている。
しかし、このような操作機構を、甲第2号証に記載された考案に記載された該終端の点火位置から該中間の開弁位置に係止させる操作をする操作機構に換えて適用するには、他の操作を必要とすることなく、単に手を放すだけでこれを達成できるようにするという課題が存在して始めて達成できるのである。
しかるに、このような課題が、甲第3号証には示されていない。
<2> そればかりでなく、甲第3号証に記載された考案における操作片の操作によってもたらされる遮断弁、点火ガス弁及び電磁安全弁の開閉順序が、甲第2号証に記載された考案におけるものと相違し、しかも、それが、二つの操作片を連動させてなされるものであるから、これを直ちに甲第2号証に記載された考案に記載された操作機構に換えて適用することができないので、これを適用して、前記した相違点において掲げた本件考案の構成のごとくすることは、当業者がきわめて容易に考えることができたものとすることができない。
<3> 甲第4号証には、遮断弁の開閉をなす操作ロッドの操作を操作杵の押圧によってなす弁の操作機構が記載されている。
さらに、甲第5号証には、点火位置で操作ロッドを保持するだけで口火点火装置の作動スイッチをオンさせて作動状態にして確実に点火を行うという技術思想が記載されている。
<4> しかし、これらをさらに併せて考慮しても、前記した相違点において掲げた本件考案の構成のごとくすることは、当業者がきわめて容易に考えることができたものとすることができない。
(5) よって、本件考案は、甲第2ないし第5号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることができないから、請求人(原告)の主張及び証拠方法によっては、本件考案の登録を無効とすることはできない。
4 審決を取り消すべき事由
審決の理由の要点(1)、(2)は認める。
同(3)のうち、甲第2号証に記載された考案においては、操作ロッドを、該終端の点火位置から該中間の開弁位置に係止させるにあたり、積極的に回転を伴う操作が必要であり、単に手を放すだけでこれを達成できる構成ではない点は争い、その余は認める。
同(4)のうち、<3>は認め、その余は争う。
同(5)は争う。
審決は、甲第2号証に記載された技術の認定を誤ったため相違点の認定を誤り、かつ、甲第3号証に記載された技術の認定を誤ったため相違点についての判断を誤り、進歩性の判断を誤ったものであるから、違法として取り消されるべきである。
(1) 取消事由1(相違点の認定の誤り)
審決は、「操作ロッドを、該終端の点火位置から該中間の開弁位置に係止させるにあたり・・・甲第2号証に記載された考案においては、・・・積極的に回転を伴う操作が必要であり、単に手を放すだけでこれを達成できる構成ではない」と認定したが、誤りである。
甲第2号証に記載された考案も、操作ロッドがすべての弁を開成する終端の点火位置にあるときに回転ッマミの回動力を解除することにより、操作ロッドはスプリングの付勢力で自動的に戻り、カムによって一定の位置で係止する構成である。
<1> すなわち、甲第2号証に記載された考案が操作ロッドを押す手段をもどり量に対応する形状をもった回転により作動させるカムによって構成しているとしても、そのことと、積極的に回転を伴う操作が必要であり単に手を放すだけでこれを達成できる構成ではないこととは、直接結びつくものではない。
甲第2号証には、「操作ツマミ11を回動し9に関連するカム6を回し、弁軸7を軸方向にスプリング10の力に抗して移動させる。この時まず主ガス通路弁2が開き続いて・・・安全弁1のガス通路が開く(と)ほぼ同時に・・・種火用ガス弁が開く。全てのガス通璋が開いた状馨で・・・着火して燃焼する。安全弁は熱起電力により励磁されそのままガス弁開の状態に保持され、主ガス弁は開の位置にカム6により保持されるが、種火用通路弁は第2図(第1図は誤りであることは、当事者間に争いがない。)の位置より少し弁軸が移動した形、即ち主ガス弁は開いているが第3図(第2図は誤りであることは、当事者間に争いがない。)の如く再度軸及び軸受の関係にもどり種火用ガス弁は閉じる。弁軸の第3図(第2図は誤りであることは、当事者間に争いがない。)の状態にもどる力は全てスプリング10によるものであり、弁軸のもどり量は弁軸7(6は誤記と認める。)を押すカムの形状により決定される。」(2頁18行ないし3頁17行。図面については別紙2参照)と記載されている。
この記載によれば、弁軸はすべての弁が閉の状態(第1図)から操作ツマミ11を回動することにより全ての弁が開の状態(第2図)まで移動し、着火後再度軸及び軸受の関係(第3図)にもどるが、この「もどる」ことについては、その直後の記載である「弁軸の第3図の状態にもどる力は全てスプリング10によるものであり、弁軸のもどり量は弁軸7を押すカムの形状により決定される」のであり、第1図の状態から第2図の状態に弁軸を移動させる時のような操作ツマミの回動操作についての記載は一切ない。「単一の回し操作」(3頁末行)とは、回す操作が一回であることを意味し、すべての弁が開いた後、種火弁のみが閉じる位置に弁軸が戻るまでの過程において、万一逆方向への回し操作をも行うのであれば、これを「単一」とは呼ばない。もし、弁軸が戻る際にも操作ツマミの回動操作が必要であれば、該回動は当初の回動とは逆方向への回動であるから、当然に記載されているはずであり、そのような記載がないことからみても、単に操作ツマミの回動力を解除すれば、弁軸が戻った状態にある、と解するのが自然である。
<2> さらに、このようなガス器具においては安全性が最も重要視されるから、カム側からの弁軸の移動が多少重くなったとしても、弁軸の自動復帰する構成をとるのが自然である。
また、カム側から弁軸を移動させる力の重さは、カム傾斜面の角度だけから決まるものではない。操作ツマミの半径R1が長いほど回転モーメントが大きくなって操作が軽くなり、また、カムの回転中心から弁軸の傾斜面接触点までの径R2が短いほど操作ツマミによる操作は軽くなる。したがって、R1とR2との比を大きくするほど、カム側から弁軸を移動させる力の重さは少なくてすむ。
(2) 取消事由2(相違点についての判断の誤り)
<1> 審決は、甲第3号証に記載された操作機構を、甲第2号証に記載された考案に記載された該終端の点火位置から該中間の開弁位置に係止させる操作をする操作機構に換えて適用するには、他の操作を必要とすることなく、単に手を放すだけでこれを達成できるようにするという課題が存在して始めて達成できるのであるが、このような課題が、甲第3号証には示されていないと認定したが、誤りである。
甲第3号証には、操作把手を下方に押し回してすべての弁を開成し、メインバーナー26の点火燃焼後「操作把手21の押圧力を解くと主レバー8、従がってカム面5だけが板ばね17の復元力で遊びaだけ押し戻され、パイロットバーナー用バルブ4は閉止状態となってパイロットバーナーは消火する。しかし、メインバルブ1は、コロ19が補助レバー3のカム面2の開放保持凹部2aに保持されて確実に開放されており・・・」(3欄28行ないし4欄6行)と記載されている。このことは、操作把手の押圧力を解くだけで、すなわち操作把手から手を放すだけで主レバーが押し戻されてパイロットバーナー用バルブは閉じるが、操作把手はコロと補助レバーのカム面との係合によりメインバーナーを開の状態に保持できる位置に係止されることを示しているのであり、これらの構成及び作用は、他の操作手段を必要とすることなく、単に手を放すだけでこれを達成できるようにするという課題が存在したからこそ記載されているものである。
<2> 審決は、甲第3号証に記載された考案における操作片の操作によってもたらされる遮断弁、点火ガス弁及び電磁安全弁の開閉順序が、甲第2号証に記載された考案に記載されたものにおけるものと相違する、と認定した。
各弁の開閉について見ると、甲第3号証に記載された考案と甲第2号証に記載された考案とは、少なくともすべての弁が開いて点火し燃焼開始後、操作片から手を放した時の各弁の開閉の状態は同じである。すなわち、両者とも、すべての弁が開いて点火し燃焼が開始した後操作片から手を放すと、点火ガス弁が閉じ、安全弁も閉成可能な状態になるが、遮断弁は開のままであり同じである。また、各弁の開成の順序については、厳密にみれば完全に一致はしていないが、甲第2号証に記載された考案の操作機構に代えて適用できるかの点については、各弁をすべて開成して点火燃焼を開始した後、操作片から手を放した時の各弁の状態が一致すれば上記適用は可能であり、各弁の開成の順序まで完全に一致する必要はない。
<3> 審決は、甲第3号証には、遮断弁、点火ガス弁及び電磁安全弁の開閉をなす操作を主レバー及び補助レバー、すなわち、二つの操作片を連動させて押圧及び解除することによって達成する操作機構が記載されている、と認定しているが、該補助レバーはむしろ本件考案の制御片に該当するものであり、審決の上記認定は誤りである。
すなわち、甲第3号証に記載された考案は、すべての弁を押し開くカム面を有する主レバーと、燃焼時種火弁を閉止した後も主バーナーを開に保持するカム面を有する補助レバーとを連結させてはいるが、操作自体は主レバーの操作把手によっている。当該補助レバーは、操作把手の押圧により主レバーを操作してすべての弁を開成し燃焼を開始した後、該操作把手の押圧解除により弁軸を戻して種火弁を閉止した時に、該補助レバーのカム面の中央凸部にコロを係止することにより主バーナを開の状態に保持するもので、この補助レバーによって弁の開閉を行っているのではない。むしろ該補助レバーは、本件考案の実施例において、操作片の押圧を解いたときに係止突部にストッパーを係合させて該操作片を中間位置で停止させる「制御片」に相当するものである。
なお、甲第3号証には、操作片の押圧操作及び押圧解除により操作ロッドを移動させて各弁の開閉を行うという本件考案と同様の技術思想が開示されているのであり、片がどのように弁秤へ当接するかは本件考案との比較において重要ではない。
<4> 審決は、甲第3号証に記載された考案を直ちに甲第2号証に記載された考案に記載された操作機構に換えて適用することはできないと判断したが、誤りである。
<1>ないし<3>のとおり、審決は甲第3号証に記載された考案の認定を誤っているから、この誤った認定に基づく上記判断は誤りである。
<5> なお、被告は、甲第3号証に記載された考案は、被動部分が弁軸1本だけである甲第2号証に記載された考案とは異質のものであり、かかる異質のものは組合せの拠り所となるものがないと主張する。
しかし、甲第3号証は、本件考案の構成要件中、操作片の押圧操作及び押圧解除により操作ロッドを移動させて各弁の開閉を行う技術が記載されていることを示すために提出したものであり、当該操作片の押圧及び押圧解除による操作ロツドの操作自体は、操作ロツド(弁軸)の数とは関係がないから、甲第3号証の操作機構を甲第2号証に組み合わせることに何の困難性もない。
第3 請求の原因に対する認否及び反論
1 請求の原因1ないし3は認める。同4は争う。審決の認定、判断は正当であって、原告主張の誤りはない。
2 反論
(1) 取消事由1(相違点の認定の誤り)について
弁軸の戻り作用が操作ツマミの回動力の解除によりなされるという点は、甲第2号証のどこにも記載がなく、カムの作用から見ても肯定できない。
<1>原告主張のように、カム6及び操作ツマミ11がスプリングの力で戻るのであれば、指を操作ツマミ11から放すか力を緩めるかしなければならず、そうであれば、この操作が当然甲第2号証に記載されているはずであるが、そのような記載は全くない。
また、甲第2号証には、「第1図は操作前の状態で安全弁、主ガス弁、種火弁が全て閉の状態を示し、第2図は操作中の状態で安全弁、主ガス弁、種火弁が全て開の状態を示し、第3図は操作完了後の状態で安全弁、主ガス弁は開で種火弁のみ閉の状態を示す。」(2頁5行ないし9行)と記載されている。この記載によれば、第1図の操作前の状態から操作すると、第2図の「操作中」の状態を経て第3図の状姦に至って「操作完了」の状態になる。すなわち、第3図の状態になるまでは操作は継続されているのであり、原告主張のように、第2図の状態で操作ツマミの回動力が解除されて以後はスプリングの付勢力で戻る、というものではない。
さらに、1回往復する連続的な回し操作を「単一の回し操作」(3頁末行)と言っても誤りではなく、「単一の回し操作」が一方向ぢけの操作を表現することに限られるべきものではない。
<2> 甲第2号証のカム6の構造は、原告の主張によれば、端面カムであると解されるが、この種のカムにおいては、従動体を軽く移動させ得るように、カム輪郭の傾斜角を小さく設定するのが普通であり、従動体を加圧するスプリングも、該従動体をカム表面に密着させるためだけの戻しバネとして使用され、カムまでも戻し回転させる戻しバネとして使用されることはない。カム面の傾斜角が小さければ、弁軸7側からの力でカム6を移動させることはできない。仮に移動させることができるとすれば、カム面の傾斜角を大きくするか、スプリングの力を大きくしなければならないが、そうすると、カム6側から弁軸7を移動させることが困難となる。「弁軸の第3図の状態にもどる力は全てスプリング10によるものであり、」(甲第2号証3頁14行ないし16行)との記載は、弁軸がカムの表面に追従する戻り状態を説明したものと解される。
甲第2号証のものは、原告主張のように解すると、作用が不安定になり、例えば、点火位置で操作ツマミから手を放しても弁軸7が戻らない場合があると想定され、この場合は安全弁1、主ガス通路弁2、種火用通路弁3を閉じることができず、種火はバーナと共に燃焼を続ける。この状態で点火が失敗であると安全弁1を開放状態に維持する熱起電力が生じていなくても、戻らない弁軸7によって安全弁1の閉弁が阻止され、生ガスがバーナから放出され続ける危険性がある。
しかも、甲第2号証には、弁軸7を開弁位置で自動的に正しく止めるために必要なカムの停止面又はこれと同じ効果を有する停止手段が示されていない。
したがって、スプリング10でカム6を開弁位置まで回転させることは、甲第2号証では全く期待されてなく、示唆もないと見るのが合理的である。
(2) 取消事由2(相違点についての判断の誤り)について
<1> 他の操作を必要とすることなく、単に手を放すだけで中間の開弁位置に係止することを達成できるようにするという課題が存在してはじめて達成できるのであるが、このような課題が甲第3号証には示されていないとの審決の認定に誤りはない。
甲第3号証には、課題と見られるものはどこにも記載がなく、その実用新案登録請求の範囲に記載された構成を得ることが課題であると見るのが自然である。
<2> 原告は、各弁の開成順序まで完全に一致する必要はないと主張するが、甲第2号証に記載された考案と甲第3号証に記載された考案において手を放した時の各弁の状態が一致すれば、甲第3号証に記載された考案を甲第2号証の考案に適用可能であるとする理由はない。
<3> 甲第3号証に記載された考案において、補助レバー3が主レバー8と連動するとした点の認定及び補助レバー3と主レバー8で遮断弁、点火弁及び電磁安全弁の開閉をするとした点の認定には、誤りはない。
甲第3号証に記載された考案において、補助レバー3は、上部において主レバー8と枢軸9で互いに連結されると共に、下部において枢軸11に取り付けられており、主レバー8と一体の操作把手21が操作されると、第4図(イ)、(ロ)、(ハ)(別紙図面3参照)に示すように、両レバー3、8は、共に枢軸11を支点として回動されて、コロ19は、まず、主レバー8の補助カム板20によって、補助レバー3の閉止保持凹部2bから中央突部2cに押し上げられ、次いで開放保持凹部2aに受け入れられてメインバルブ1を開放するものである。
甲第3号証の操作把手21が本件考案の把片7a及び操作片7に該当することは確かであるが、主レバーと補助レバーは、直接弁杵に当接して制御するものであるから、本件考案の用語に従えば2つの「制御片」であり、前記主レバーと補助レバーは、「レバー」なる用語を用いていても、レバーとしての「操作片」でないことは明らかである。
また、本件考案の操作片7と制御片8は、操作ロッド5を押し込むときと、全開状態のときと、第3連通口17のみを閉じた状態に保持するときと、のいずれの場合も一体となっており、「共にストッパー10に制止され」とは同時に制止されることを意味するから、一体運動することは明らかである。
本件考案の係止突部11とストッパー10は、操作片7の押圧解除により係止されるものであるが、甲第3号証にあっては、操作把手21を下げる途中でコロ19が解放保持凹部2aに保持されるもので操作把手21の押圧解除により保持されるものではないから、係止突部11、ストッパー10と中央突部2c、コロ19とは対応しない。また、甲第3号証のコロ19は前記のとおり解放保持凹部2aに係止されるもので、中央突部2cに係止されるという主張は、事実と異なる。
<4> しかも、甲第3号証に記載された考案においては、バルブの弁軸は並列の3本であって、これらは独立して動くから、甲第2号証に記載された考案における一体の弁軸が動くものとは構成が全く異なる。したがって、甲第3号証に記載された考案は、甲第2号証に記載された考案と課題及び構成において関連性がなく、相互に適用できる技術をもつものではない。
また、甲第3号証に記載された考案においては、手を放したときメインバルブ1は解放保持凹部2aに保持されて戻らず、パイロットバーナー用バルブ4のみが戻るのであって、一つの弁軸しかなく手を放したとき自動的に戻ることもできない甲第2号証に記載された考案とは構成、作用が異なり、示唆するところも全くないと解される。
第4 証拠関係
本件記録中の書証目録記載のとおりであって、書証の成立はいずれも当事者間に争いがない。
理由
1 請求の原因1(特許庁における手続の経緯)、同2(本件考案の要旨)及び同3(審決の理由の要点)については、当事者間に争いがない。
そして、審決の理由の要点(3)のうち、甲第2号証に記載された考案においては、操作ロッドを、該終端の点火位置から該中間の開弁位置に係止させるにあたり、積極的に回転を伴う操作が必要であり、単に手を放すだけでこれを達成できる構成ではない点を除く事実は、当事者間に争いがない。
2 そこで、原告主張の取消事由の当否について検討する。
(1) 取消事由1(相違点の認定の誤り)について
<1>(a) 甲第2号証によれば、甲第2号証には次の記載があることが認められる。
「10は主ガス通路弁、種火通路を閉じるための圧縮状態でセットされたスプリング、11は操作ツマミである。」(2頁14行ないし16行)
「次に動作を説明する。操作ツマミ11を回動し9に関連するカム6を回し、弁軸7を軸方向にスプリング10の力に抗して移動させる。この時まず主ガス通路弁2が開き続いて安全弁を押すクッション先端4と安全弁1は接触し押されて安全弁1のガス通路が開くほぼ同時に弁軸7と本体5の構成する種火用通路弁は軸及び軸受の関係が解消(鮮消は誤記と認める。)し種火用ガス弁が開く。全てのガス通路が開いた状態で操作軸に連結する圧電装置を駆動する機構により高圧電気火花を発生させ種火弁を通じるガスに点火し安全弁を通過し主ガス弁を通過したガスに着火して燃焼する。安全弁は熱起電力により励磁されそのままガス弁開の状態に保持され、主ガス弁は開の位置にカム6により保持されるが、種火用通路弁は第2図の位置より少し弁軸が移動した形、即ち主ガス弁は開いてはいるが第3図の如く再度軸及び軸受の関係にもどり種火用ガス弁は閉じる。弁軸の第3図の状態にもどる力は全てスプリング10によるものであり、弁軸のもどり量は弁軸7を押すカムの形状により決定される。」(2頁17頁ないし3頁17行)
「安全弁を開く軸、主ガス弁軸種火弁軸を全く一体にし軸の移動量を操作軸に関連するカムにより単一の回し操作のみで行うことができる」(3頁18行ないし4頁1行)
(b) 上記記載及び図面第1図ないし第3図(別紙図面2参照)によれば、スプリング10は主ガス通路弁、種火通路弁を閉じるため圧縮状態でセットされており、そのことにより、弁軸7はカムを常時押圧する力を働かせているが、開弁操作のときには、操作ツマミ11を回動させて操作軸9に関連するカム6を回動させると、カムを押圧するスプリングの力が働いている弁軸を前記スプリングの力に抗してカムと反対側の方向へ移動させるものと認められる。そして、弁軸の上記移動に伴い、第2図(別紙図面2参照)のように主ガス通路弁が開き、弁軸のクッション先端が安全弁に接触して安全弁を押し、ほぼ同時に弁軸7と本体5の構成する種火用通路弁は軸及び軸受の関係で接触していたものが解消し、種火用ガス弁が開くものと認められる。全てのガス通路が開いた状態で操作軸に連結する圧電装置を駆動する機構により高圧電気火花を発生させ種火弁を通じるガスに点火し、安全弁を通過し主ガス弁を通過したガスに着火して燃焼する。次に、安全弁は熱起電力により励磁されそのままガス弁開の状態に保持され、主ガス弁は開の位置にカム6により保持されるが、種火用通路弁は第2図(別紙図面2参照)の位置よりも少しカムよりに弁軸が移動した状態、すなわち第3図(別紙図面2参照)のごとく主ガス弁は開いてはいるが、種火用ガス弁は閉じる、とあり、弁の解放位置から中立位置に弁軸が移動するものと認められる。
そして、弁軸のもどりに対して、甲第2号証には操作ツマミの回動によることが記載されていないし、また、これを示唆する記載も見いだせない。かえって、前記のとおり、「弁軸の第3図の状態にもどる力は全てスプリング10によるものであり、弁軸のもどり量は弁軸7を押すカムの形状により決定される。」との記載に続く、「安全弁を開く軸、主ガス弁軸種火弁軸を全く一体にし軸の移動量を操作軸に関連するカムにより単一の回し操作のみで行うことができる」との記載は、通常、一方向回転を意味し、その後の逆回転にも操作が及ぶこととなる操作まで含むと解することは困難であるから、弁軸がカム側にもどるのは圧縮したスプリングの反発力によるものであって、スプリングの反発力によりカムの傾斜面を弁軸の先端が押すことによりカムの傾斜面を滑動してカムが回動し、カムの形状に従って、すなわちカムの傾斜面が平坦化することにより弁軸の滑動が停止し、停止するまでの弁軸の移動量がカムの形状により決まると認めるべきである。
<2> 被告は、甲第2号証のカム6においては、従動体を軽く移動させ得るように、カム輪郭の傾斜角を小さく設定するのが普通であり、従動体を加圧するスプリングも、該従動体をカム表面に密着させるためだけの戻しバネとして使用され、カムまでも戻し回転させる戻しバネとして使用されることはない。カム面の傾斜角が小さければ、弁軸7側からの力でカム6を移動させることはできない。仮に移動させることができるとすれば、カム面の傾斜角を大きくするか、スプリングの力を大きくしなければならないが、そうすると、カム6側から弁軸7を移動させることが困難となる旨主張する。
しかしながら、カム輪郭の傾斜角を小さく設定するのが普通であり、従動体を加圧するスプリングも、該従動体をカム表面に密着させるためだけの戻しバネとして使用され、カムまでも戻し回転させる戻しバネとして使用されることはない等の前提自体が認められないから、被告の上記主張は採用できない。
<3> そうすると、本件考案と甲第2号証に記載された考案とは、操作ロッドを、終端の点火位置から中間の開弁位置に係止させるに当たり、他の操作を必要とすることなく、単に手を放すだけでこれを達成できる構成を具備している点においても一致しているものである。
したがって、審決の「操作ロッドを、該終端の点火位置から該中間の開弁位置に係止させるにあたり、本件考案においては、操作片の押圧解除をすることのみにより、すなわち、他の操作を必要とすることなく、単に手を放すだけでこれを達成できる構成となっているのに対して、甲第2号証に記載された考案においては、操作ロッドを押す手段を、もどり量に対応する形状をもった回転により作動させるカムによって構成しているので、積極的に回転を伴う操作が必要であり、単に手を放すだけでこれを達成できる構成ではない点。」(甲第1号証5頁12行ないし6頁3行)との相違点の認定のうち、本件考案は、操作部材の操作を操作片の押圧により行っているのに対し、甲第2号証に記載された考案では操作ツマミを回動して操作ツマミの操作軸に関連するカムの回動により行っている点で両者は構成が相違するとの認定に誤りはないが、その余の点の相違点の認定は誤りであると認められる。
(2) 取消事由2について
<1>(a) 甲第3号証によれば、甲第3号証には次の記載があることが認められる。
「3はメインバルブ1を開閉保持するためのカム面2をもつ補助レバーであって、カム面2に開放保持凹部2aと閉止保持凹部2bを中央凸部2cの両側に備えている。8はパイロットバーナー用バルブ4を開閉するためのカム面5と安全バルブ6を初動時に押し開らいてこれを電磁石18に圧接保持するための押圧片7とを備えた主レバーで、前記カム面5及び押圧片7のほかに、初動時補助レバー3のカム面2における閉止保持凹部2bにあるメインバルブ1を作動するためのコロ19を押し上げ脱出させると共にメインバルブ1も押し開らく補助カム板20を備え、かつその一側には操作把手21を一体的に備えている。前記補助レバー3と主レバー8はその上部において枢軸9で連結され、かつ、これらはその下部において主レバー8にだけ長孔等によって若干の遊びaをもたせて取付枠10に枢軸11で回動自由に取付けられている。前記遊びaは補助カム板20により閉止保持凹部2bにあるコロ19を中央凸部2cにまで押し上げることによってメインバルブ1及びカム面5によりパイロットバーナー用バルブ4が開放できる程度の遊びとなっている。15、16、17は両レバー3、8のカム面2、5及び押圧片7と、各バルブ軸12、13、14との間に介在させた板ばねであって、板ばね15、16をカム面2、5に圧接してその押圧作動の確実性を保つと共に板ばね17で点火作動時において主レバー8を復帰方向へ押圧附勢するようになっている。」(2欄3行ないし32行)
「第1図(別紙図面3参照)に示した作動前の状態から操作把手21を下方へ押し廻わすと、これと一体の主レバー8は補助レバー3とともに枢軸11を支点として回動しながら遊びaだけ枢軸11に対して主レバー8が前方(図面において左方)へ移動し、メインバルブ1のバルブ軸12と補助レバー3のカム面2との間に介在せる板ばね15の先端に備えたコロ19を補助カム板20でカム面2の閉止保持凹部2bから脱出させて中央凸部2c上にまで押し上げると同時にメインバルブ1をその復帰発条27に抗して押し開らく」(3欄2行ないし12行)
「次いで操作把手21をさらに下方に押し廻わすとコロ19はカム面2の中央凸部2cを越えて開放保持凹部2bにまで移動保持され、メインバルブ1が開放され」(3欄16行ないし19行)
「その後、操作把手21の押圧力を解くと主レバー8、従がってカム面5だけが板ばね17の復元力で遊びaだけ押し戻され、パイロットバーナー用バルブ4は閉止状態となってバイロットバーナーは消火する。しかし、メインバルブ1は、コロ19が補助レバー3のカム面2の開放保持凹部2aに保持されて確実に開放されており、また安全バルブ6も引続き吸着開放されているので、ガスストーブは正常な燃焼状態にある。(第4図ハ参照)(別紙図面3参照)」(3欄28行ないし4欄8行)
(b) 甲第3号証の上記記載によれば、甲第3号証に記載された考案は、個別に異なる弁を開閉操作しているだけであって、本件考案のように、共通の操作ロッドを閉止位置、点火位置、中間の開弁位置の3種の位置に操作なさしめるものではないことが認められる。
そうすると、甲第2号証に記載された考案が、前記(1)に説示のとおり、単に手を放すだけで中間の開弁位置に係止させる構成を有するものであるとしたところで、これに上記の甲第3号証に記載された考案を適用したとしても、本件考案のように構成することはできないものと認められる。
(c) 原告は、甲第3号証は、本件考案の構成要件中、操作片の押圧操作及び押圧解除により操作ロッドを移動させて各弁の開閉を行う技術が記載されていることを示すために提出したものであり、当該操作片の押圧及び押圧解除による操作ロッドの操作自体は、操作ロッド(弁軸)の数とは関係がないから、甲第3号証の操作機構を甲第2号証に組み合わせることに何の困難性もないと主張する。
しかしながら、前記説示のとおり、甲第2号証に記載された考案においては、1本の弁軸が3段階の移動を行うが、甲第3号証に記載された考案においては、各バルブ軸は2段階の移動を行えば足りるものであるところ、このように各弁軸が2段階の移動を行えば足りるものと3段階の移動を行うものが技術的に同一であると解することはできないから、原告の上記主張は採用できない。
(d) したがって、甲第3号証に基づく容易推考性をいう原告の主張は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。
<2>(a) 次に、甲第4号証には、「遮断弁の開閉をなす操作ロッドの操作を操作杆の押圧によってなす弁の操作機構が記載されている」(甲第1号証7頁15行ないし20行)ことは、当事者間に争いがない。
甲第4号証によれば、甲第4号証には、「操作レバー(3)と一体に設けた把手(12)を上下移動することにより<省略>型レバーの先端コロ(11)が板ばね(8)の押圧力に抗して上下に移動し切換えバルブ(9)の開閉が行なえるようになっている。」(4頁2行ないし6行)、「把手(12)を上方へ枢軸(6)を支点として移動すると、・・・切換えバルブ(9)は作動軸(10)を介して押し開かれ、メインバーナー(13)の双方へガス導入管(14)及び(15)を介してガスを供給することになる。このとき操作レバー(3)と<省略>型レバー(2)のピン(4)による連結部がこれらの枢軸(5)(6)を結ぶ線(a)を越えると板ばね(8)の押圧力で案内長孔(7)の端部まで該連結部が移動して保持されるので、このデッドポイント作用と相まって切換えバルブ(9)を開放位置において確実に保持するものである」(4頁9行ないし5頁6行)と記載されていることが認められる。
この記載によれば、甲第4号証に記載された考案は、把手(12)の上下移動により切換えバルブ(9)が開閉位置にそれぞれ保持されることが記載されているが、それは把手の上下動により切換えバルブが開閉されるだけであって、本件考案のように、操作片により操作ロッドを閉止位置、点火位置、中間の開弁位置の3段階に操作し、かつ、操作片の押圧解除により点火位置から中間の開弁位置に操作するものではないと認められる。
(b) さらに、甲第5号証には、「点火位置で操作ロッドを保持するだけで口火点火装置の作動スイッチをオンさせて作動状態にして確実に点火を行うという技術思想が記載されている」(甲第1号証8頁2行ないし5行)ことは、当事者間に争いがない。
そして、甲第5号証によれば、甲第5号証には、「口火安全装置のつまみ8’を押圧することにより弁軸11の先端に固定した弁体12も前進して主バーナー10への流路を閉止する」(1頁左欄37行ないし39行)、「つまみ8’を押圧している間に感熱部(熱電対別名サーモカップル)9は補助口火バーナー6及び安全口火バーナー7の両火焔により加熱され感熱部9が作動して磁石16が働き安全弁8の吸着板17が磁石16に吸着される。つまみ8’を離すも主バーナー10側流路が開かれガスは主バーナー10に流れ安全口火バーナー7の火焔にて主バーナーに点火されることになる。」(1頁右欄16行ないし23行)、「主バーナーの燃焼を消す場合はバルブ18を閉じることにより消火する。」(2頁左欄5行、6行)と記載されていることが認められる。
この記載によれば、甲第5号証に記載された考案では、つまみの押圧により主バーナーの流路は閉止され、つまみを離すと主バーナーの流路が開かれるものの、主バーナーを消火するのはつまみによるのではなく、別途バルブ18を閉じることによりなされるものと認められ、本件考案のように、操作片により操作ロッドを閉止位置、点火位置、中間の開弁位置の3段階に操作し、かつ、操作片の押圧解除により点火位置から中間の開弁位置に操作するものではないと認められる。
(c) そうすると、甲第2号証に記載された考案に甲第4号証に記載された考案及び第5号証に記載された考案を適用しても、本件考案を構成することはできないと認められる。
したがって、「これらをさらに併せて考慮しても、前記した相違点において掲げた本件考案の構成のごとくすることは、当業者がきわめて容易に考えることができたものとすることができない」との審決の判断に誤りはないと認められる。
(3) 結論
以上によれば、審決には相違点の認定の誤りはあるものの、「甲第2ないし第5号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることができない」との審決の結論に違法はない。
3 よって、原告の本訴請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 伊藤博 裁判官 濵崎浩一 裁判官 市川正巳)
別紙図面1
<省略>
別紙図面2
<省略>
別紙図面3
<省略>